フヂちゃん63:煙草の煙
涙の溢れる眼で、改めて男の顔を見たフヂちゃんは、その容貌の異様さに気が付きました。男の眼が、まるで渦巻き模様のように見えるのです。涙のせいかと思いましたが、そうではないようです。
よく見れば、渦巻き模様は目玉だけでなく、体中のあちこちに渦巻いてるようです。それが気味悪く、フヂちゃんはその男から遠ざかりたいと思う気持ちから、魔女のカワセミ号へ向かってヨタヨタ歩き出しました。
背負った荷物は重く、腕がちぎれそうです。鼻に掛けたカバンは軽かったのですが、臭いのきつい煙が漂ってきて、くしゃみを何回もする度に、鼻から落ちそうになるのでした。
漂う煙は、男が吸っている煙草の煙でした。男は自分がはいた煙に囲まれてご満悦です。そして傍に居た手下のソデムに向かって喋り始めました。
男:「ワタシは、この煙が無いと苦しくてねぇ。」「近頃はねぇキミ、電者に乗るのも禁煙でねぇ。」「もう、気が変になりそうだったよ。」
それを聞いて、フヂちゃんは思い出しました。今日、父さん母さんと一緒に電者に乗った事、降りてから山を歩いてた事、魔女に鳥にされてここまで飛んできた事、そして・・・
フヂちゃん:「私、オジサンの事知ってる!」「オジサン、私が電者に乗った駅で、一緒に電者に乗った人でしょう!」
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オジサンの正体は?
by yamadorikoubou
| 2012-11-24 23:43
| フヂちゃん