フヂちゃん64:最後の荷物
男:「お嬢ちゃん、良く覚えてたねぇ。」「古本町の駅で、一緒に電者に乗ったねぇ。」
フヂちゃん:「そのタバコの変な臭いで思い出したの。」「オジサン、だれ?」
フヂちゃんからの質問を聞いた男は、渦巻く眼をグルグルさせながら、イライラとした口調で云いました。
男:「それはねぇ・・・誰だろうねぇ・・・ワタシは一体、誰なんだろうねぇ・・・・」
魔女:「その男は、昔を無くしているんだよ。」
カワセミ号の上から、魔女が云いました。「昔を無くす」なんて、変な言い方だなってフヂちゃんは思いました。
魔女:「それより、さっさと荷物を船に積み込みなさい。」
フヂちゃんの背負っていたベットと布団と枕は、カワセミ号の腹のハッチの中から伸びてきた、三本指の手に掴み取られて、船の倉庫に吸い込まれて行きました。
やっと、鼻にかかっていたカバンを外すと、ハッと何かに気が付いて、カバンの中を開けて見ようとするフヂちゃん。
フヂちゃん:「もうふ!!」
魔女:「さあ、アンタが最後の荷物だよ。」
三本指は、カバンを開けようとするフヂちゃんを捕まえて持ち上げると、カワセミ号の腹の中に放り込みました。
フヂちゃん:「きゃあ!!」
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オジサンの正体は?
by yamadorikoubou
| 2012-11-28 20:08
| フヂちゃん