フヂちゃん66:船の中
いっぽう、カワセミ号のお腹から船の中に吸い込まれたフヂちゃんは、暗い穴の通路を抜けて、奇妙な部屋の天井から下に落ちました。
先に吸い込まれた荷物が積み重なっていたのが、良いクッションになりましたが、荷物の隙間に身体が挟まってしまって、中々身体の自由が利きません。
フヂちゃんが荷物の隙間から抜け出そうともがいていると、周りに何やら人の形をした影のような物が大勢居るのに気が付きました。
様子はソドムと似てますが、胸の当たりにロウソクの炎のような、ユラユラとした明かりの揺らめきが見えます。
もしかするとこれが、お父さんが話してくれた「ソチ」なのかもしれない、と、フヂちゃんは思ったのでした。
「ソチ」のような人影は、部屋の中の荷物をそれぞれ別の部屋に運んで行きます。天井から出ている二つの眼と、数本の腕が彼らを監視し、仕事を指示しているようです。
そのうち、数匹の「ソチ」がフヂちゃんの所に歩み寄って来ました。天井の目玉もフヂちゃんを見ています。どうやらフヂちゃんをどこかに運ぼうとしているようです。
逃げようにも、どこへも逃げられないフヂちゃん。不安に押しつぶされそうになったフヂちゃんはふと、自分のカバンの中に、手を入れたのでした。
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カバンの中には何が?
by yamadorikoubou
| 2013-01-13 01:14
| フヂちゃん