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いっぽう、カワセミ号のお腹から船の中に吸い込まれたフヂちゃんは、暗い穴の通路を抜けて、奇妙な部屋の天井から下に落ちました。

先に吸い込まれた荷物が積み重なっていたのが、良いクッションになりましたが、荷物の隙間に身体が挟まってしまって、中々身体の自由が利きません。

フヂちゃんが荷物の隙間から抜け出そうともがいていると、周りに何やら人の形をした影のような物が大勢居るのに気が付きました。

様子はソドムと似てますが、胸の当たりにロウソクの炎のような、ユラユラとした明かりの揺らめきが見えます。

もしかするとこれが、お父さんが話してくれた「ソチ」なのかもしれない、と、フヂちゃんは思ったのでした。

「ソチ」のような人影は、部屋の中の荷物をそれぞれ別の部屋に運んで行きます。天井から出ている二つの眼と、数本の腕が彼らを監視し、仕事を指示しているようです。

そのうち、数匹の「ソチ」がフヂちゃんの所に歩み寄って来ました。天井の目玉もフヂちゃんを見ています。どうやらフヂちゃんをどこかに運ぼうとしているようです。

逃げようにも、どこへも逃げられないフヂちゃん。不安に押しつぶされそうになったフヂちゃんはふと、自分のカバンの中に、手を入れたのでした。

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カバンの中には何が?
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# by yamadorikoubou | 2013-01-13 01:14 | フヂちゃん
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フヂちゃんを、悲鳴ごと呑み込んだカワセミ号は、貨物ハッチを閉じました。

魔女:「総員乗船、配置に付け。」

手下達は、次々にカワセミ号の船内に入って行きます。最後に乗り込んだのは背広の男でした。

魔女:「アンタのせいで、随分予定が狂ったよ。」「本当に、いつまで経っても使えない男だねぇ。」

男:「女の子をさらうなんて、気が向かなくてねぇ。」「それにタバコが吸えなくてねぇ・・・」

魔女:「ゴタゴタ云ってないで、さっさと中にお入り。」「それからね、今度私の船でタバコ吸ったら、すぐに外に放り出すからね。」「わかったかい、バンコ!」

バンコと呼ばれた男は、シブい顔をしながら船の中に入って行きました。

バンコ:「ああ、わかったよ・・・。」

魔女:「本流までは葉面航行、両翼巡航速度3あげ、見張りは特に上空警戒。」「この辺の森には馬賊は居ないがね、レンジャーの追っ手がかかってる筈だよ。」

カワセミ号は、浮かせた船体を大きく傾けて急旋回すると、落ち葉の川に向かって飛んで行きました。

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# by yamadorikoubou | 2012-12-02 21:07 | フヂちゃん
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男:「お嬢ちゃん、良く覚えてたねぇ。」「古本町の駅で、一緒に電者に乗ったねぇ。」

フヂちゃん:「そのタバコの変な臭いで思い出したの。」「オジサン、だれ?」

フヂちゃんからの質問を聞いた男は、渦巻く眼をグルグルさせながら、イライラとした口調で云いました。

男:「それはねぇ・・・誰だろうねぇ・・・ワタシは一体、誰なんだろうねぇ・・・・」

魔女:「その男は、昔を無くしているんだよ。」

カワセミ号の上から、魔女が云いました。「昔を無くす」なんて、変な言い方だなってフヂちゃんは思いました。

魔女:「それより、さっさと荷物を船に積み込みなさい。」

フヂちゃんの背負っていたベットと布団と枕は、カワセミ号の腹のハッチの中から伸びてきた、三本指の手に掴み取られて、船の倉庫に吸い込まれて行きました。

やっと、鼻にかかっていたカバンを外すと、ハッと何かに気が付いて、カバンの中を開けて見ようとするフヂちゃん。

フヂちゃん:「もうふ!!」

魔女:「さあ、アンタが最後の荷物だよ。」

三本指は、カバンを開けようとするフヂちゃんを捕まえて持ち上げると、カワセミ号の腹の中に放り込みました。

フヂちゃん:「きゃあ!!」

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オジサンの正体は?
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# by yamadorikoubou | 2012-11-28 20:08 | フヂちゃん
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涙の溢れる眼で、改めて男の顔を見たフヂちゃんは、その容貌の異様さに気が付きました。男の眼が、まるで渦巻き模様のように見えるのです。涙のせいかと思いましたが、そうではないようです。

よく見れば、渦巻き模様は目玉だけでなく、体中のあちこちに渦巻いてるようです。それが気味悪く、フヂちゃんはその男から遠ざかりたいと思う気持ちから、魔女のカワセミ号へ向かってヨタヨタ歩き出しました。

背負った荷物は重く、腕がちぎれそうです。鼻に掛けたカバンは軽かったのですが、臭いのきつい煙が漂ってきて、くしゃみを何回もする度に、鼻から落ちそうになるのでした。

漂う煙は、男が吸っている煙草の煙でした。男は自分がはいた煙に囲まれてご満悦です。そして傍に居た手下のソデムに向かって喋り始めました。

男:「ワタシは、この煙が無いと苦しくてねぇ。」「近頃はねぇキミ、電者に乗るのも禁煙でねぇ。」「もう、気が変になりそうだったよ。」

それを聞いて、フヂちゃんは思い出しました。今日、父さん母さんと一緒に電者に乗った事、降りてから山を歩いてた事、魔女に鳥にされてここまで飛んできた事、そして・・・

フヂちゃん:「私、オジサンの事知ってる!」「オジサン、私が電者に乗った駅で、一緒に電者に乗った人でしょう!」

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オジサンの正体は?
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# by yamadorikoubou | 2012-11-24 23:43 | フヂちゃん
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フヂちゃんは魔女の手下、ソデムの姿になっています。魔女が魔法をかけたに違いありません。フヂちゃんは魔女の奴隷として、一生働かされるのでしょうか?

魔女:「驚いてる暇は無いよ。さっさと云われた事をしなさい。」「そのベットと布団と枕は、これからアンタが使う物だからね。自分で運ばなくて誰が運ぶかね?」

木のベットは組み立て式になっていて、分解と結束を手下の一人が手伝ってくれます。

フヂちゃん:「ありがとう。でも、どうして私、こんな所でこんな姿をしてるのか、教えてくれない?」

フヂちゃんはまだ、鳥になったショックから立ち直っていないようで、状況が呑み込めていないようです。しかし手下のソデムは何も話してくれません。フヂちゃんは込み上げてきた悲しい気持ちで、胸がいっぱいになりました。

するとそこに背広の男が現れて、フヂちゃんに話しかけました。

男:「お嬢ちゃん、大事な物をお忘れだよ。」

それはフヂちゃんの肩掛けカバンでした。それを見たフヂちゃんは自分が誰で、何があったのか、思い出して来たのです。

フヂちゃん:「わたしのカバン!」

男:「返してあげようねぇ・・・がしかし、こりゃあ手が塞がってしまって、大変だねぇ。」「おや?こんな所にちょうど良いカバン掛けがあるよ。」

そう云って男は、フヂちゃんの尖った鼻に、カバンの紐をかけました。すると、フヂちゃんの眼からは大粒の涙がポロポロと、ながれたのでした。

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泣かないで、フヂちゃん。
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# by yamadorikoubou | 2012-11-22 00:38 | フヂちゃん
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フヂちゃんは、ザアザアと騒がしい葉擦れの音に、目を覚ましました。

身体を動かそうとすると、少し自分の身体でないような、感覚です。そういえば、自分は鳥になって空を飛んでいたのを思い出しましたが、それが夢だったのかどうか、まだぼぉっとした頭では判断がつきません。

簡易なベットに寝かされていた身体を起こしてみると、目の前には小型のボートが接地してあり、その上に立って何やら指図している魔女の姿と、慌ただしく働いている手下達の姿がありました。

魔女は、森の獲物と収穫の詰まった包みを、自分の船に積み込んでいるところでした。

フヂちゃんが身体を起こしたのを見ると、さっそく大きな声で、言いました。

魔女:「さあさあ、いつまで寝てるつもりだい?」「あんたはお客さんじゃあ無いんだよ。」

魔女:「このカワセミ号はね、これから急いで落ち葉の大河を下って行かなきゃいけないんだ。」

魔女:「さっさと毛布をたたんで、ベットと一緒にこっちに持っておいで。」

自分に何が起こったのか、まだよく解らないまま、魔女の剣幕におされて慌てて立ち上がったフヂちゃん。

そのとき、自分の手足を見て、思わず声をあげたのでした。

フヂちゃん:「キャ〜〜〜!!」

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何があったのか?
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# by yamadorikoubou | 2012-08-28 01:26 | フヂちゃん
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元の姿に戻った魔女は、口の中をモゴモゴと動かすと、左手のひらにプイと、何やら小さな物を吐き出しました。

そしてそれを右手でつまんでから、しげしげと眺めて言うのでした。

魔女:「こりゃあまた、小さくてつまらないボタンだね。」

魔女:「そりゃあ喰っちまう前から、解ってたよ。」

魔女:「あんな事でもなけりゃあ、誰があんな貧そな鳥を喰うものかね。」

魔女:「それでも、捨てる訳にはいけないからね。」「困った掟だねぇ・・・。」

そう言って魔女は、その小さなボタンを腰に下げたポシェットに仕舞い込みました。

そしてまだ気を失っているフヂちゃんを見て、こう言うのでした。

魔女:「さぁ、この子の始末をつけないとね!」

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ああ、フヂちゃん!
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# by yamadorikoubou | 2012-08-25 23:52 | フヂちゃん
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怪鳥は、延びる牙の触手を使ってフヂ鳥を捕まえて、それからしばらく飛んでから、森の中に降りていきました。

フヂ鳥は森の木の根元のウロの、落ち葉の布団の上に寝かされると、そのまま元の姿に戻ってゆきました。

しかし、ヒゲツルミから受けた傷は、身体の傷や服の破れとなって、残っています。

ぐったりと力尽きた様子のフヂちゃんの横で、怪鳥から元の姿に戻ったのは、森で出会ってフヂちゃんに魔法をかけた、あの魔女でした。

魔女:「これはちょっと、危なかったね。」「こちらから迎えに行って、正解だったよ。」

魔女は、フヂちゃんの頭をなでてやりながら、言いました。

魔女:「だいぶん、大きくなってきちゃったねぇ・・・フヂちゃん。」

魔女:「こりゃあちょっと、いそがなけりゃあ、いけないね。」

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何をいそぐのか?
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# by yamadorikoubou | 2012-08-24 22:59 | フヂちゃん
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ヒゲツルミのリーダーを襲った牙は、怪鳥の頭から延びた触手の一つでした。

牙の生えた触手はリーダーに噛み付き、そのまま哀れな鳥を怪鳥の口元に運びました。

そしてその大きな口が開かれると、怪鳥は、ヒゲツルミのリーダーをひとのみに、呑み込んでしまいました。

一瞬の出来事に、ただ呆然と見ていた手下達も、次第に我に返っては、リーダーの仇を討とうと密集体形をとり始めたその時、怪鳥の口から、大きな鳴き声が発せられました。

怪鳥:「オカワリ!!」

そうして、牙の付いた幾つもの触手が、ヒゲツルミの集団に一斉に延びて行くと、驚いたヒゲツルミ達は一目散に、逃げて行ったのでした。

悠々と飛ぶ怪鳥の大きな翼の下には、フラフラと飛ぶフヂ鳥の姿だけが、残されました。

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食べられちゃったね
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# by yamadorikoubou | 2012-08-21 23:00 | フヂちゃん
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ヒゲツルミのリーダーは、少し高い空の上を飛びながら、仲間達に指示を出していた。

リーダー:「そいつの下げてるカバンを、喰いちぎってやれ!」

カバンを破ろうとするヒゲツルミのクチバシから、カバンを守ろうと必死に抵抗するうちに、フヂ鳥の体力も限界に近づきました。

ヨロヨロとふらつき飛ぶ、フヂ鳥の姿を、ヒゲツルミ達が笑っています。

ヒゲツルミ:「リーダー、こいつ生意気だから、殺しちゃおう・・・」

そう云って手下がリーダーを見上げたその時、リーダーの姿に大きく被さる黒い鳥の姿と、そこから猛烈な勢いでリーダーに迫る、野獣の牙の様な物が、見えたのだった。

ヒゲツルミ:「リーダー!!」

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怪鳥の正体は?
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# by yamadorikoubou | 2012-08-20 23:14 | フヂちゃん