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フヂちゃんは、ザアザアと騒がしい葉擦れの音に、目を覚ましました。

身体を動かそうとすると、少し自分の身体でないような、感覚です。そういえば、自分は鳥になって空を飛んでいたのを思い出しましたが、それが夢だったのかどうか、まだぼぉっとした頭では判断がつきません。

簡易なベットに寝かされていた身体を起こしてみると、目の前には小型のボートが接地してあり、その上に立って何やら指図している魔女の姿と、慌ただしく働いている手下達の姿がありました。

魔女は、森の獲物と収穫の詰まった包みを、自分の船に積み込んでいるところでした。

フヂちゃんが身体を起こしたのを見ると、さっそく大きな声で、言いました。

魔女:「さあさあ、いつまで寝てるつもりだい?」「あんたはお客さんじゃあ無いんだよ。」

魔女:「このカワセミ号はね、これから急いで落ち葉の大河を下って行かなきゃいけないんだ。」

魔女:「さっさと毛布をたたんで、ベットと一緒にこっちに持っておいで。」

自分に何が起こったのか、まだよく解らないまま、魔女の剣幕におされて慌てて立ち上がったフヂちゃん。

そのとき、自分の手足を見て、思わず声をあげたのでした。

フヂちゃん:「キャ〜〜〜!!」

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何があったのか?
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by yamadorikoubou | 2012-08-28 01:26 | フヂちゃん
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元の姿に戻った魔女は、口の中をモゴモゴと動かすと、左手のひらにプイと、何やら小さな物を吐き出しました。

そしてそれを右手でつまんでから、しげしげと眺めて言うのでした。

魔女:「こりゃあまた、小さくてつまらないボタンだね。」

魔女:「そりゃあ喰っちまう前から、解ってたよ。」

魔女:「あんな事でもなけりゃあ、誰があんな貧そな鳥を喰うものかね。」

魔女:「それでも、捨てる訳にはいけないからね。」「困った掟だねぇ・・・。」

そう言って魔女は、その小さなボタンを腰に下げたポシェットに仕舞い込みました。

そしてまだ気を失っているフヂちゃんを見て、こう言うのでした。

魔女:「さぁ、この子の始末をつけないとね!」

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ああ、フヂちゃん!
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by yamadorikoubou | 2012-08-25 23:52 | フヂちゃん
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怪鳥は、延びる牙の触手を使ってフヂ鳥を捕まえて、それからしばらく飛んでから、森の中に降りていきました。

フヂ鳥は森の木の根元のウロの、落ち葉の布団の上に寝かされると、そのまま元の姿に戻ってゆきました。

しかし、ヒゲツルミから受けた傷は、身体の傷や服の破れとなって、残っています。

ぐったりと力尽きた様子のフヂちゃんの横で、怪鳥から元の姿に戻ったのは、森で出会ってフヂちゃんに魔法をかけた、あの魔女でした。

魔女:「これはちょっと、危なかったね。」「こちらから迎えに行って、正解だったよ。」

魔女は、フヂちゃんの頭をなでてやりながら、言いました。

魔女:「だいぶん、大きくなってきちゃったねぇ・・・フヂちゃん。」

魔女:「こりゃあちょっと、いそがなけりゃあ、いけないね。」

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何をいそぐのか?
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by yamadorikoubou | 2012-08-24 22:59 | フヂちゃん
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ヒゲツルミのリーダーを襲った牙は、怪鳥の頭から延びた触手の一つでした。

牙の生えた触手はリーダーに噛み付き、そのまま哀れな鳥を怪鳥の口元に運びました。

そしてその大きな口が開かれると、怪鳥は、ヒゲツルミのリーダーをひとのみに、呑み込んでしまいました。

一瞬の出来事に、ただ呆然と見ていた手下達も、次第に我に返っては、リーダーの仇を討とうと密集体形をとり始めたその時、怪鳥の口から、大きな鳴き声が発せられました。

怪鳥:「オカワリ!!」

そうして、牙の付いた幾つもの触手が、ヒゲツルミの集団に一斉に延びて行くと、驚いたヒゲツルミ達は一目散に、逃げて行ったのでした。

悠々と飛ぶ怪鳥の大きな翼の下には、フラフラと飛ぶフヂ鳥の姿だけが、残されました。

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食べられちゃったね
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by yamadorikoubou | 2012-08-21 23:00 | フヂちゃん
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ヒゲツルミのリーダーは、少し高い空の上を飛びながら、仲間達に指示を出していた。

リーダー:「そいつの下げてるカバンを、喰いちぎってやれ!」

カバンを破ろうとするヒゲツルミのクチバシから、カバンを守ろうと必死に抵抗するうちに、フヂ鳥の体力も限界に近づきました。

ヨロヨロとふらつき飛ぶ、フヂ鳥の姿を、ヒゲツルミ達が笑っています。

ヒゲツルミ:「リーダー、こいつ生意気だから、殺しちゃおう・・・」

そう云って手下がリーダーを見上げたその時、リーダーの姿に大きく被さる黒い鳥の姿と、そこから猛烈な勢いでリーダーに迫る、野獣の牙の様な物が、見えたのだった。

ヒゲツルミ:「リーダー!!」

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怪鳥の正体は?
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by yamadorikoubou | 2012-08-20 23:14 | フヂちゃん
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フヂ鳥のそばを、数羽のヒゲツルミが急降下してすり抜けた瞬間、フヂ鳥は体中に鋭い痛みを感じた。

フヂ鳥:「キュイッチ!(痛い!)」

ヒゲツルミ達は急降下ですり抜けざまに、自分の鋭く硬い風切り羽をフヂ鳥の身体に当てて、傷を付けていたのでした。

可哀想に、何が自分の身に起こっているのか解らぬままに、繰り返されるヒゲツルミの攻撃を受け続けるフヂ鳥。

続く攻撃に思わず高度を低くすると、ヒゲツルミ達の急降下攻撃が止みました。一瞬安堵したものの、今度は横からクチバシ攻撃が加えられます。

すると、それまで恐怖ばかりだった心に、怒りが湧いてきたフヂ鳥は、近付いてくるヒゲツルミに対して、勇敢に体当たりを加え始めました。

元々人間だったフヂ鳥は、普通の鳥には出来ない翼の使いで、器用にヒゲツルミの身体を森の梢に引っ掛けては、落として行きます。

しかし、これで更に敵意を抱いたヒゲツルミ達は、いよいよ、容赦無い攻撃を、フヂ鳥に加えました。

傷の痛みと弱って行く心に、フラフラになりながら、ふと、フヂ鳥はある言葉が、心の中に浮かんできたのです。

フヂ鳥:「おとう・・・さん・・・おかあ・・・さん。」

しかし、今は鳥になったフヂちゃんの口からは、キィキィと、か細い鳥の声が、出てくるだけでした。

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どうなる、フヂちゃん。
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by yamadorikoubou | 2012-08-19 01:30 | フヂちゃん
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いっぽうフジ鳥(ふじちょう)は、魔法の森の西の空深く目指して飛び続けています。

翼の羽ばたきも、生まれた時からそうしてきたかのように、自由に使いこなせるようになりましたが、しかしそうやって、上手く飛べるようになればなるほど、元の自分の記憶が薄らいで行く事には気がつきません。

ただ何となく、自分の大事な物が、この空の先に消えて行ってしまった、その思いだけは強まるばかりです。

そんなフヂ鳥の頭の上を飛ぶ、黒い鳥の影がありました。いつも群れで行動し、縄張り意識が強いヒゲツルミの群れです。

そうと知らずに、ヒゲツルミの縄張りに入ってしまったフヂ鳥。ヒゲツルミ達は、カバンを首にかけた変てこな鳥を見つけると、早速にもちょっかいを出さずには、いられませんでした。

ヒゲツルミのリーダー:「オマエら、あのバカ鳥に教育してやれ!」

ヒゲツルミ達は、フヂ鳥の上空から一斉に、襲いかかりました。

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フヂちゃんアブナイ!
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by yamadorikoubou | 2012-08-18 00:33 | フヂちゃん
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司令所:「巡視3号、こちら、司令本部」「緊急捜索命令」

司令所:「捜索目標は女の子、名前はフヂちゃん」

司令所:「現在は、魔女の魔法で鳥に姿を変えられて、行方不明中」

司令所:「特徴、ポニーテールと首から下げた布カバン」

司令所:「捜索重点地域は西海に流れる落ち葉の大河」

司令所:「至急、探鳥を使い、川上より捜索せよ」

巡視3号:「本部、こちら、巡視3号」「緊急捜索命令、了解」

巡視員:「特徴は、ポニーテールとカバンだよ。」「そんな鳥を見つけたら、すぐに知らせるんだ。」「それから、魔女にも気をつけてな。」

探鳥(たんちょう)達は、巡視員の指示を聞くと、直ぐにも西海方面に向けて、飛び立っていきました。

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見つかると、いいね。
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by yamadorikoubou | 2012-08-13 02:21 | フヂちゃん
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レンジャー:「おそらく、魔女に使われていたというソドム達が、命を吸い取られた子供達の成れの果てでしょう。」

お父さん:「ああ、大変だ。」「早く、娘を取り返さないと。」

お母さん:「飛んで行った娘の行き先は、解りませんか?」

レンジャー:「この森までは、魔女は船で移動してきた筈です。」「森の獲物を運ぶには、船が一番です。」

お母さん:「娘は、その船のある川まで飛んで行った、という事ですね。」

レンジャー:「それに、魔女達が住む森はここから遥か遠い。」「娘さんが鳥になったとはいえ、長距離飛行は変身してすぐは難しい。」

レンジャー:「問題は、その川がどの川か、という事です。」「ここの森海はあまりに広く、流れる川も沢山あります。」

お父さん:「落ち葉の大河はどうでしょうか?」「ああいった魔女なら、水の川より、魔力の強い落ち葉の大河を好みそうですが。」

レンジャー:「そうかもしれません。」「娘さんは確か、西の方角に飛んで行ったのでしたね・・・」

レンジャーは地図を広げて、フヂ鳥の向かったと思われる、落ち葉の大河を探し始めました。一方、彼の部下は、のん気にキリンの乗り者に餌を与えています。

お母さん:「ああ、フヂちゃんも、お腹を空かせてなければ、いいけれど・・・」

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心配です。
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by yamadorikoubou | 2012-08-12 02:23 | フヂちゃん
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フヂちゃんの父さんと、母さんが、我に返った時には既に、ボタンの魔女の姿は消えていました。大勢居た筈の手下のソデムの姿も見えません。

お父さん:「ああ、しまった!やられたなぁ・・・」

お母さん:「早く追いかけないと、あの子一人では、元に戻れないわ。」

お父さん:「あの魔女の正体がなんなのか、それが解らないと、今はどうしようもないよ。」

そのとき、坂の上からペタペタと山を下りてくる乗り者がありました。

レンジャー:「我々は森林レンジャーです。」「先程この付近で爆発音がしましたが、何かありましたか?」

お父さんは今さきほどの出来事を、手短にレンジャーに話して聞かせました。

お父さん:「どうか、娘を連れ戻すのを手伝ってください!」「それから、あの魔女は一体何者か、ご存知ですか?」

レンジャー:「娘さんの捜索は、もちろん我々も協力しますよ。」

レンジャーは、後ろの部下に命じて、フヂちゃん捜索依頼の無電を打たせました。トトトツー・トトトツー・・・。

レンジャー:「それと、そのボタン好きの魔女はおそらく、ソナチネでしょう。」「ソチと魂の交換をした人間です。」

お父さん:「魂を交換すると、どうなるんですか?」

レンジャー:「強い魔力を得る事が出来ますが、そのかわり、ソチと同じくらいに寿命が短くなる。」「それで、子供をさらっては、その生命力を吸い取って、自分の命を補填するのです。」

お父さん/お母さん:「えー!!!」

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さあ、大変!
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by yamadorikoubou | 2012-08-11 01:56 | フヂちゃん